この作品は歌詞と散文と注釈から成り立ちます。
[A]
大嘘ばかりを集めた街の明かりという明かりが
僕ら[1]の頭上と地下とを埋め尽くして
まるで過去と未来も救われた気になった日に
ただ毎日話しを聴くだけだったロボット[2]が
歌を覚えて子は皆一緒に歌い大人皆憂いを抱いて
一人一つずつだと言いながら
何年かに一度の紙を燃やしたので
祈り子とその祈られた命が少しだけ身体を震わせました
[1]僕ら
小林ケイとその周囲の人々。特に研究室の先輩である水原イノリ。
彼らは今、反乱組織の首謀者達として、政府軍に追われている。
[2]ロボット
人の代わりに何らかの動作を行う機械のこと。ここではPrayerのことを指す。
Prayerは人の言語的機能を深層学習させたインターフェイスを持つ。
当初は単純な受け答えや、予め用意された回答を示すのみであったが、
次第に明確な倫理、論理を構成するに至り、2018年、チューリングテストに合格した。
[透明な羽衣]
透明な羽衣で着飾った
リンゴの信者[4]が良いそうなことだ
だったら君のその
いきり立った正義で
救っておくれよ
この星のことを
この街のことを
この僕のことを
[4]リンゴの信者
原始幸福党の党員。リンゴの呼び名はアダムとイブの逸話をモチーフとしている。
党是は統一民族で国家を維持する為に子を増やそうというもの。
現実的な方法がない状態ではあるが、例年支持者を増やし、2102年に与党となった。
[サビ]
スタープレイヤーイズデッド
[天使の降る部屋]
滲む光に混ざって形を無くす部屋
僕は、目を背けながら
言葉を無くして 好きな音楽[5]を聴いてる
[5]好きな音楽
小林ケイは音楽家であった父親の影響で20世紀後期の日本の曲が好きだ。
渋谷系と呼ばれる当時の新しいロックサウンドは、一時期研究室で流行った。
[B]
大多数にとっての真実[6]がたまに僕たちに牙を向くように
幾重にも広がった結末に点を穿つことが
そもそも間違いだと気づくのが遅かった
僕はただ祈ることを引き換えにするしかなかった
[6]大多数にとっての真実
22世紀の中頃には、あらゆる統計的判断を鑑みながら、多国籍間で決議をこなすのに、
もはやマンパワーは役者不足だった。
最初に形式化されたのは議論だった。
主張論理と言語形式は分離され、正しい議論の形が、それまでの議論に取って代わられた。
[この星の最後に]
ねえ君はヒーローになってよ
この声を聞く君のことだよ
ねえ君はヒーローになってよ
救えなかった僕の代わりに
[サビ]
スタープレイヤーイズデッド[7]
[7]
2152年、国制機の誤作動により、東アジア連盟は未曾有の混乱に陥った。
主謀者の小林ケイらは依然逃走を続けているが、意識不明となった実行グループの女性の身柄を確保している。
なお、この事件を受けて機械判事への信頼が大きく揺らいでいることから、
女性の今後の扱いの見通しは立っていない。